2009年11月12日木曜日

あるピアニストの永遠の旅立ち。

山梨在住のピアニスト木島睦夫さんが11月6日永遠に旅立たれました。
彼の名前は随分以前より知っていましたが、一緒に演奏したことは一度もありませんでした。
それは彼はバリバリのプロミュージシャンだし、私は他に仕事を持つアマチュアプレイヤーなので、当たり前のことです。

ところが今年の3月のこと、彼が店に突然私を訪ねて来ました。
「近藤さん、私のピアノトリオをバックにダービーハットというお店でゲストプレイヤーで演奏してくれませんか?」というお話しをいただきました。

彼のステージにゲストとして乗せていただくなんて恐れ多くて、一瞬躊躇しました。
でもプロでありながら、アマチュアの、しかも一回りも年下の私に対して驚くほど腰が低く、またあまりに熱心に誘ってくださるので、考えた末ありがたくお引き受けすることにしました。
事前に2回ほど軽いリハーサルをして、5月23日に無事本番を迎えることが出来ました。

さすが百戦錬磨のピアニストだけあって、私の申し出た10曲ほどのスタンダード曲に見事な伴奏を施して下さり、実力以上の出来栄えとなったのではないでしょうか。

ご来場のお客様からも概ね好評をいただけたのは、木島さんのピアノに因る所が大きいと思います。


その彼が亡くなりました。
これからは定期的に演ろうね・・なんて誘ってくださっていて、じゃあ次は何の曲にしようかななんて思っていたのに。。。

聞くとちょうど私のところに来たちょっと前から、背中に痛みを感じるようになったらしく、普段から愛煙家で酒量も多かったので「酒の飲み過ぎ?」程度に思っていたらしいのですが、時間がたつにつれ、激痛に変わり、周りから促されてやっと病院に検査に行ったそうです。

そして7月、運命の宣告を受けました。
余命半年!
膵臓(すいぞう)がんが肝臓や脊椎(せきつい)など5カ所に転移していて、手の施しようがありませんでした。
最初はショックでかなり落胆して、演奏する気力も何も無くなってしまったようですが、いつも出演しているお店のこれからのスケジュール欄から自分の名前が全て無くなっている見て、心を決めました。

俺は命続く限り、力尽きるまでピアノを弾き続けよう!
最後の一瞬まで音楽と共に生き、音楽を武器にして病魔と闘い続けよう!

すごい決心だと思いました。
私も一演奏者として、音楽を志す者として、いえ、人として心打たれました。
そして音楽がある幸せも感じたのです。


彼は入院や抗がん剤の使用を避け、痛み止めを飲みながら自宅で暮らすことを選びました。
音楽はもちろん、酒も、たばこも、やめようとはしませんでした。
このことが地元の新聞に掲載されました。
9月にはステージをともにした音楽仲間が集まって、闘病生活を励ますライブを開きました。
私もその仲間の一人に加えていただきました。


これが彼と一緒に演奏した最後のプレイとなりました。
この時は店に入りきらないほどのお客様。
しかもすでに電話で何人も断っていたということ・・・

演奏が始まるや、熱演の連続でした。
ガンで満身創痍になりながらも、2時間30分休みなく弾きっぱなしです。
周りが心配するほど。
でも、お客様からは
惜しみなく贈られる拍手、喝采、声援、そして涙・・・・
こんなにも彼はいろんな人から愛されていたのだとつくづく感じました。

全身全霊を込めた、本当に心に残る演奏でした。

音楽に対して、どこまでも純粋でまっすぐな姿勢。
音楽を武器にして、病魔と闘うことを選んだ彼。

自分は果たして人生の瀬戸際でこういう姿勢が貫き通せるのか・・・・
自問しながら遺影の彼に手を合わせました。

心からご冥福をお祈りいたします。



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